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140メートルのぼうけん名古屋市立八事東小学校1年生藤本千尋下手の横好きの挑戦福岡市立片江中学校2年生岸原凛々子作文部門作文部門ぴろぴろぴろぴろぴろぴろかかのたいおんけいがなったしゅんかん、わたしのうんめいがきまりました。「ちいちゃん、きょう、ひとりでいける?」小学校はぶんだんとうこうです。でも、しゅうごうばしょまではいつもかかといっしょ。「いっしょにいけない?」「ごめんね。」「かぎできない。」「しめなくていいよ。」「きょうカサいる?」「あめふってるもんね。」ほんとうはきかなくてもわかっていたけど、わたしはいっぱいはなしかけました。もうすぐひとりになるとおもうとドキドキして、なんだかとてものどがかわきます。おちゃをのんで、トイレにいってまたのんで。そのうちおなかがちゃぷちゃぷになりました。ひとりでいけるかな、さみしいな。なんかこわいな。きもちがどんどんいやないろにぬりつぶされていきます。「140メートル。」とつぜんかかがいいました。なにかときくと、しゅうごうばしょまでのみちのながさで、かけっこ3かいぶんだとおしえてくれました。かけっこだったらだいとくい。うんどうかいでも1とうしょうでした。なんだかすこし、できるきがしてきました。「だいじょうぶ。できる。」かかはあたまをなでて、わらってくれました。ポロロンポロロン7じ50ぷんのアラームがなって、いよいよしゅっぱつです。ランドセルよし。ぼうし、すいとう、ハンカチもよし。カサももった。「いってきます。」かかをおこさないようにこっそりいって、わたしはげんかんをあけました。あめなのにまぶしい「もしかして、下手なのか?。」そう思うようになったのはいつからだろう。小さい頃からぬり絵や工作は嫌いではなかった。どちらかというと、好きな方だろう。美術館によく連れて行ってもらったし、クラフト教室等にもよく参加した。最近では、九州国立博物館で行われていた北斎展に行き、とても楽しんだ。そんな私だが、小学校の図画工作や中学校の美術の成績はいつも良くない。「図工・美術はしょうがないよな。」成績表を見た両親はいつもそう言うのだ。成績を見るたびに、絵や工作に対する気持ちは後向きになっていった。「どうせ上手に描けない。」「どう作っても不格好になる。」マイナスな気持ちで、モヤモヤした思いの作品を作っていた。クラスでの鑑賞会で、友達の作品は輝いて見えるのに、自分の作品はどこか自信がなくて、すさんでいるように見えた。「〇〇ちゃんは絵が上手だから。」「〇〇君は工作を習っているから。」私は心の中で言い訳をして、自分の作品をごまかした。ごまかせばごまかすほど、私と図工(美術)との距離は遠くなる気がした。しかし、中学一年生の夏、私と美術(図工)との距離が変化する。夏休みの宿題で、美術の自由課題が出た。紙一枚にたくさんのコンクールの募集がまとめられていた。「挑戦してみたい。」と思った。今までの私だったら、きっと目を背けていただろう。でも、私は変わりたかった。美術に前向きに取り組んで、仲良くなりたい、と思った。私の思いを受け止めてくれた両親は、必要なサイズの画用紙や絵の具を買う為に何軒もろいことにきづきました。ぼっ、ぼっ、ぼぼっ、ぼっブーンざっ、じゃりたたん、たたんカサにあめがあたるおと。くるまがとおくではしる音。ぬれたじめんをあるく音。あるくのにあわせてはねるふでばこの音。いつもはきこえない音の大がっしょうです。それから、はしりまわるしろねこ、かわいいおはな、カラフルなくるまたち。くるまのすうじでたしざんをしたら、ぴったり20になるのがあって、なんだかうれしくなりました。あるいたらマスクがずれて、ぬれた土のにおいもします。やっぱりあのとびら、ほんとうにちがうせかいにつながっていたのかもしれない。なんだかたのしくなってきました。しゅうごうばしょにちかづくほど、音もはっけんもにおいもふえていきます。ドキドキしていたこころはもうわくわくでいっぱいです。でももうおわっちゃう。さいしょははやくつきたかったのに、しゅうごうばしょにつくのがもったいなくなってきて、わたしはゆっくりあるきました。「おはよう。」しゅうごうばしょにとうちゃくです。音もにおいももうしません。みんなのこえにけされちゃったみたい。ちょっぴりざんねんにおもっていると、はんちょうさんがいいました。「きょうひとりできたの。えらいね。」そのしゅんかん、わたしのからだがぱあっとあたたかくなりました。そうだった。わたしきょう、ひとりでこれたんだった。4がつからずっと1ねん生だったのに、なんだかきょうあたらしい1ねん生になったみたいな、ふしぎなかんじがします。ざんねんなきもちはいっきにふきとんで、わたしはまたうれしいきもちでいっぱいになりました。おしゃべりしながらあるくのはすきだけどそれだときづけなかったおもしろいものが、みちに文房具店を回ってくれた。そんな応援が、画用紙を前にした私の筆をすべらせる。自分なりに一生懸命考えて、悩んで、描いた。出来上がった作品は、すごく良く見えた。そして、まだ描きたい、と思った。私は二学期の始業式、四枚の作品を美術科の先生に提出した。私は楽しかった。美術(図工)と少しだけ距離が縮まったような気がしていた。なんと後日、その内の一枚が入賞したと知らされた。聞いた時は驚きよりも心から嬉しかった。私はこのチャレンジで、決して絵が上手になった訳ではない。本心を言うなら、もう少し上手になりたい。美術(図工)に対する姿勢や考え方を変えたにすぎない。しかし、試行錯誤しながら描いたあの時間は、私をとても成長させてくれた。夢中で頑張ったと思う。その頑張りの結果が出た時、私のチャレンジに鮮やかな色がついた。苦手だから、分からないから、自信がないから、そうやって目を背けることは多い。でも、そんな時こそ、自分を成長させてくれるチャンスなのだ。私はこれからも自分の可能性を広げるため、一つ一つに向き合っていきたい。その挑戦が成功しても、失敗しても、必ず自分の成長につながると信じている。だから私は、限界突破を目標に、色々なことに挑戦を続けている。今年の夏は、美術科の先生が前年以上の募集一覧を配布してくれた。先生からの挑戦である。もちろん私は、美術(図工)との仲を縮めるために、全力で取り組んだ。「りりこ画伯」と、おどける両親は、今年も画材集めに付き合ってくれた。暑かった夏休みもそろそろ終わる。もうすぐ私は、昨年よりも一枚多い作品と共