4/24(土)に開催した、みらさぽ×日本動物愛護協会 オンライン動物愛護セミナーではお申し込み時に、参加者から多くの質問が寄せられました。時間内にお答えしきれなかった質問についてゲストの今西乃子氏、パネリストの廣瀬章宏氏に後日回答をいただきましたのでご確認ください。
左:児童文学作家・(公財)日本動物愛護協会 常任理事 今西乃子氏
右:(公財)日本動物愛護協会 常任理事・事務局長 廣瀬章宏氏
①昨年、迷い犬を見かけ保護する為に行方を探す中、飼い主ではない私がチラシ配りやSNSで探す行為を、飼い主でもないのにと避難されました。私には見えない「飼い主の壁」があるんだと感じました…。それが日本の現状なのでしょうか?その後、迷い犬は執念で探しだし、家族になりました。あの時諦めていたら、確実に消えていた命でした。
今西氏回答:あなたのしていることは、決して間違っていませんし、非難されたことで落ち込む必要など全くありません。SNSが普及する中、人として正しいことをしていても、いろんなことを言う人がいるのも事実。そういう時は、あなたのことを理解してくれる本当の友だちに、たくさん話を聞いてもらいましょう。きっと「あなたは間違ってないよ!大丈夫」と言ってくれるはず。それにしても、自分を信じて諦めなくてよかったですね。
廣瀬氏回答:犬を救っていただきありがとうございます。自分の思いと違う人は必ずいます。そして今はそれを簡単に発信できる世の中です。非難する方がいる一方で、発言や発信はしていなくても応援してくれていた人、協力してくれていた人はいたのではないでしょうか、非難されたことは心に残ってしまい、いつまでも嫌な思いが残ってしまいますが、それよりはるかに多くの人が犬を救ったことを喜んでいるはずです。そして、何よりも家族に迎えてもらった犬があなたの愛情を受け、一番の幸せを感じているはずです。少なくとも私たちは犬を大切に思う気持ちと、あきらめない勇気に感謝しています。
②我が家で保護犬や保護猫を飼う事はできませんが、他に役に立てる事はありますか?お散歩ボランティアなど。研修を受ける必要はありますか?
今西氏回答:動物愛護センターではボランティアさんを募集しているところも多いです。シャンプーボランティア、お散歩ボランティア、啓発ボランティアなど。また、動物愛護推進員さんとしてボランティア活動している人も多いです。お近くの動物愛護センターに聞いてみてください。
廣瀬氏回答:動物を直接扱うボランティアには経験が必要となります。動物愛護センターや動物愛護団体などでボランティアを募集しているところもあります。啓発ボランティアはいろいろな人の講演等を聞いてみるなど、まずは一歩踏み出してみてもよいのではないでしょうか、いろいろな経験を積んでいただき、自分では何ができるのか探っていただくとよいと思います。私も仔猫を保護したとき、自分に何ができるか考えて、本を読んだり講演を聞いたり、愛護協会とのかかわりも電話受付のボランティアからでした。
③殺処分に対しての意識は高まっていると思うのですが、実際数値としてはどうなのでしょう。また、コロナ禍での異変はありましたか? お聞かせください。
廣瀬氏回答:現在最新のものが2019年度の数字となります。2019年度は85,897頭(犬32,555頭 猫53,342頭)の犬猫が全国の動物愛護相談センターへ持ち込まれました。残念ながらそのうち32,743頭(犬5,635頭 猫27,108頭)が殺処分されました。これは1日に約90頭の犬や猫が殺処分されている計算になります。殺処分数は年々減ってきてはいますが、これはあくまでも行政による殺処分の数字で、交通事故や虐待で命を落とした子の数は含まれていません。コロナ禍での数字が出てくるのはこれからです。今、在宅時間が長くなりペットを飼う人が増えています。飼いきれずに遺棄、飼育放棄がすでに出始めていますが、数値として出てくるのはこれからです。今後センターへの持ち込み数、殺処分数が増えないよう活動します。
④飼うことができない場合どういう形で愛護協会に対し協力できますか?現金で募金的なダイレクトな感じはなく他にあれば教えて頂きたいです。
廣瀬氏回答:無理に動物を飼わなくても動物愛護はできます。見かけた動物たちを優しく見守っていただくだけでも良いです。私たち協会にご協力いただけるのであれば啓発冊子の配布やポスターの掲示、写真展の開催等はどなたでもできることです。必要であれば協会までご連絡ください。
⑤自分では当たり前のように思っていることを、全く違う価値観の人に伝えようとする時、何をどう言ったらいいかわからず途方に暮れることがあります。セミナーや授業で話す時に心がけていることはありますか?
今西氏回答:今回「命について考える」ことをテーマにお話ししましたが、命について何をどう考えるかは、人それぞれなので、授業の前には、自分のお話があくまでも主観的なものであることを伝えることにしています。聴講する人の中には「私はその意見に反対」」という人もいるでしょう。それでいいのだと思います。なぜ反対なのか、自分はどう違うのか、を考えてもらうことも意義があると思います。
⑥犬、猫の殺処分を減らす子どもにもできる活動を教えて下さい
今西氏回答:命の授業の内容がまさに、答えです。命を捨てる人間と命を大切にできる人間、どちらの大人になりたいですか?どちらの大人になったほうがあなたは幸せですか?命を傷つけたり、捨てたりする人間にはなりたくない、とすべての子どもが心から思えるようになれば、殺処分はなくなります。それをできるだけ多くの子どもたちに伝えていくことだと思います。同時に「命を預かった人間の責任」についても考えてもらい、広く、伝えていくことが大切です。
廣瀬氏回答:講演内でも話しましたが、人それぞれできること、考えていることは違います出来る範囲で一歩を踏み出してみてはどうでしょうか、なにも難しいことはありません。動物を飼っている人は、飼っている動物を大切にする。飼っていない人は、動物たちを見かけたら優しく接したり見守る。それだけでも立派な動物愛護だと思います。何かしてみたいなと思ったら、
・お住まいの近くの動物愛護相談センターを見学して、正しい知識と現状を知りましょう
・学んだことは、お友達、家族、まだ知らない人たちに教えてあげましょう
・無理のない範囲でボランティア活動をしてみましょう
・動物を迎える際には、動物愛護相談センターや動物愛護団体に飼い主を待っている動物たちがたくさんいるので、そこからの迎え入れも考えましょう
⑦動物愛護というと、行政の動物愛護センターが率先しているイメージがありますが、実際行政が積極的に愛護という形で市民に働きかけている事例等を伺いたいです。
廣瀬氏回答:法律で9月20日~9月26日が動物愛護週間と定められています。その時期には各自治体で様々な動物愛護のイベントが行われています。具体的には東京では日本動物愛護協会が事務局となり、環境省・東京都・台東区(会場が上野公園のため)・動物愛護団体が協力し、動物愛護週間中央行事というイベントを行っています。また、東京都杉並区では「すぎなみ地域大学」という市民講習会を開催し動物愛護の講座があります。
⑧今西さんに質問です。今西さんの今後の夢はなんですか?なにかやってみたいことはありますか?廣瀬さんにお願いです。またこのオンラインセミナーを企画していただきたいです。そして、こどもたち同士がオンラインで意見などを話し合う企画ができたら良いなと思っています。
今西氏回答:今後も、命の授業をもっと、もっと多くの子ども達に届けたいです。また、子ども達と直接意見交換できる場も作っていけたらなと思っています。
廣瀬氏回答:ありがとうございます、今後も動物愛護の普及啓発のため企画、計画していきたいと思っています。
⑨今後も命の授業をオンラインでやっていただけたら嬉しいです!一回だけではもったいないと思います!夏休みとかいかがでしょうか。子供たちが自由研究などのヒントになるかもしれないと思いました。そして、未来ちゃんの本も学校がお休みの間に読んでもらうのも良いかもしれないなと思いました!!
今西氏回答:はい。夏休みの自由研究では、今までも多くの子どもたちが、犬猫の殺処分について調べたり、発表したりしてくれました。その研究のために、私のところへHP経由で質問や問い合わせもたくさん来ていましたよ。今後は、日本動物愛護協会でも夏休み自由研究を目的とした動物愛護セミナーをリモートで設けたいと思っています。どんなテーマがいいでしょうか?その時には、みなさんと直接お話できるようになりますね。今からとっても楽しみです(^^♪事務局長の廣瀬さん、ぜひともよろしくお願いいたします。
廣瀬氏回答:はい!ありがとうございます。子供たちへ動物愛護の啓発を行うことが協会の目的の一つです。頑張ります!